初発で球麻痺と呼吸筋麻痺を呈し、死の淵を味わった2ヶ月の記録

鉄欠乏性貧血/低カリウム血症/低リン血症/低血糖/栄養失調

貧血(Anemia)

赤血球数の生体内における寿命は約120日で、老化した赤血球脾臓、肝臓、骨髄などのマクロファージなどに貪食され崩壊する。

 

それに見合うだけの数の赤血球が骨髄内で産生されることで、生体中の赤血球数は、一定の範囲内に厳密にコントロールされている。

 

なんらかの理由で、生体からの赤血球の崩壊、消失と産生のバランスが崩れた結果、赤血球が減少した状態を総称して貧血という。

 

通常は末梢血中のヘモグロビン濃度で規定され、成人男子で13.0g/dL以下、女子で12.0g/dL以下と定義される。

 

貧血においては、赤血球の主要な機能であるヘモグロビンによる酸素の組織への運搬が障害されることにより、動悸、息切れ、全身倦怠感、易疲労感など、さらにはめまい、耳鳴り、頭痛などの症状を呈する。

 

貧血をきたす疾患は多岐にわたるが、その全体像を理解するにあたっては、病因/病態論的に原因が産生の低下にあるものと、崩壊、喪失の亢進にあるものに分類すると整理しやすい。

 

産生の低下によるものは、さらに骨髄内の(正常)造血細胞が減少したことにより、産生が低下しているものと、造血細胞は減少していないが、造血細胞が正常な造血を行えずに、結果として赤血球が減少しているものに大きく分けることができる。

 

前者の代表が、再生不良性貧血であり、急性白血病、癌の骨髄転移なども結果的に正常造血細胞は減少しているためここに分類することができる。

 

後者の代表として、骨髄異形成症候群、巨赤芽球性貧血など、無効造血により血球産生が低下する疾患があげられる。崩壊、喪失の亢進によるものは、生体で病的に赤血球の破壊(溶血)が亢進する溶血性貧血と急性出血による赤血球の喪失に分けることができる。

 

貧血の治療は、これらの原因疾患の治療を行うことであり、原因疾患によりその治療は異なるので、貧血に伴う随伴症状、および適切に行われた検査結果から原因疾患を鑑別することが肝要である。