初発で球麻痺と呼吸筋麻痺を呈し、死の淵を味わった2ヶ月の記録

鉄欠乏性貧血/低カリウム血症/低リン血症/低血糖/栄養失調

人間の何と脆いこと。

高等生物はすべて、細胞の内外で、微妙で複雑な電解質の平衡が必要である。特に、電解質の浸透圧の勾配を維持することが重要である。このような勾配が、人体の給水、血中のpHを制御するのに影響しており、また、神経と筋肉の活動にとって不可欠である。

 

筋組織と神経線維は両方とも、人体で電気的な組織と考えられている。筋肉と神経線維は細胞外体液と細胞内体液の間の電解質の活動によって動作する。電解質は、プラズマ半透膜にあるイオンチャネルと呼ばれる専用のタンパク質構造を経由して、細胞膜を出入りする。例えば、筋肉の収縮は、カルシウム、ナトリウム、カリウムの存在に依存している。こうした主要な電解質が適正なレベルでないと、筋肉は弱くなったり、極端な筋肉の収縮が起こることがある。

電解質-Wikipedia


まさにその通りだと感じた。

あの時は生きた心地がせず、また同様に正常に戻っても電解質が少し崩れるだけで人間はいとも簡単に物理性を維持できなくなるということがよく分かった。


宇宙は人間のために作られたと言うが、電解質が崩れた状態では、とてもそのようには思えない。


自分の身体が実在しているのに、中身の電解質が物理法則に少し逆らっただけでああなる。


人間のために物理法則など作られていない。たまたま、それをする事でしか存在できないだけである。決して人間のために宇宙が作られていることなどない。


電解質の異常というのを察知する能力が少し敏感になった気がする。絶対に宇宙の物理法則には逆らってはいけないことがよくわかった。電解質を崩して、さぁ人間として存在してください。と言われても絶対にそんなことできない。体内のあらゆるものが乱れ、ついには身体が崩壊する事が簡単に理解できる。


人間の身体は人間が設計したわけではないが、人間が管理すべきものである。人間が設計したわけではないし、あくまで物理法則の網をかいくぐってようやく成立している機械人形であるから、その管理を怠ってはならない。


誰が設計したわけでもないが、物理法則に則って精巧に作られたこの機械芸術を管理する義務があるとはっきり分かった。


宇宙に逆らうとろくな事がない。大人しく電解質の中で生きていくことにする。


電解質を崩すだけで、筋肉が存在しているのに信号さえ伝わらなくなる。


呼吸も苦しく、意識しなければまともに存在することさえ危ういあの感覚。人間の身体は人間が設計したものではないが、人間が管理すべきものである。

 

「生体をシステムとして見たとき、言葉では言い表せないほどの精巧さに感動する。ひとつひとつの動きは単純な化学反応、もっと言うと物理現象に還元できるんだけど、それらが全体として調和して働いて今自分が生きてる訳で、これは奇跡という他ない。
そして、サリンという非常に単純な分子が生命の活動を停止させうる破壊力を持つ、という事実も、非常に興味をそそられる所だ。」

 

生物は自然淘汰で対応できなかった部分を突かれると弱い。サリンは非常に化学的に不安定な分子で、人工的に合成されて初めてその脅威が現実化される。もしサリンが安定に存在する環境があって、過去の生物の歴史において何度も何度も危険にさらされてきたとしたら、きっと生物は対応策を生み出していたに違いない。正確に言うと、偶然対応策を身につけた個体が生き延び、その特質が現在まで受け継がれていたに違いない。

 

弱みを突くのは人間の脳味噌から発生した新しいモノだったり、ウイルスの突然変異であったりするけれど、なんちゅーか、あー、もう、生命すげぇ。

サリンが神経の働きを阻害する仕組みを化学反応と立体構造から見る - ミームの死骸を待ちながら